望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
「やめろ!!やめろ!!」と必死で止める医師。
事態を察した看護師が診察室に入ってきて美華を押さえ、止めようとする…。

「テメェ!言う通りにとっとと吐きやがれ!!ゲス野郎!!」
と美華は暴れ、興奮して医師に蹴りを入れた。

「イテッ!
追い出せ!早く追い出せ!」と医師。
二人がかりの看護師によって美華は診察室の外へと追い出されてしまった…。



(何かあるわ!!絶対何かあるわよ!!隠してるんだわ!!)






夕日が沈み、段々と夜になっていく……。

診察室を追い出された美華は大学病院の駐車場で一人ジッと身を潜めている。
情熱的で真っ赤な上等なドレスに、唇にはこれまた真っ赤なルージュを塗り、フェラガモのハイヒール履いて、腰まである髪をユルリユルリと丁寧にカールさせている。ドレスの端からは紫色のランジェリーがチラチラと見える。そして黒い毛皮のような肩掛をしている。『完全武装状態』である。

しばらくすると建物から、産婦人科医が出て来た。
帰宅する様子だ。

跡をつける美華。

医師はシルバーのポルシェの前に立ち止まると鍵を開け乗り込んだ。

すかさず美華もサッサと助手席へと乗り込む…。
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