望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
そりゃあ全国をかけ周って、3畳一間のボロアパートに住んで…。でも全然、売れなくてね。周りからは馬鹿にされるわ、そのうち実家は売り払われ無くなっちゃって、成功しなかったら女優を引退してポルノ女優になるか、吉原の遊郭で女郎として体を売るしかなかったの。
だから全身全霊で頑張ったの!!
馬鹿にされても良い、私は決して間違ってないって自分を誇り高く信じてね…。」
と言うとニコッと政子にほほ笑んだ。


政子は驚いてならなかった。


今のきらびやか着物を毎日着ている鶴子の姿からは想像もできないきっと壮絶で地にのた打ち回って生きてきた過去があったなんてこと……。
そして、その過去が、政子にとってまるで自分自身を鏡で映したように酷似していること……。


義昭は、
「まぁ…母さんはちょっと頑固だけどな~。僕はとても尊敬してるよ!」と言った。


そして政子も、川添家を守る強き女としてのまなざしを持ち、逆に聖母のような優しさをも兼ね備えた鶴子をとても尊敬していたのでした。




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