望美 ～ママ、離れないわよ。私は絶対に！～

なんということでしょう、政子と望美が抱き合い座っている黒い大きなソファに、以前政子に襲いかかったあの、黒装束の大男が座っていたのです。


「ギャアアアーーー！！！」

政子は悲鳴をあげた。 政子に以前見た悪夢の恐怖が戻ってくる…。


裏腹にキョトンとしている望美。

得体の知れない男はガリガリの長い手で政子と望美を抱きかかえようとしてきた。


「キャアアッ！！」

やはり手は腐敗し、うでは肉片でグチョグチョである。
骨だけで繋がっている部分もある。
そして黒目の無い赤い目でギョロギョロと二人を見つめている。



「ギャアアアーー！！！！
ヤメテ！！
出て行って！！来ないで！！」

政子は黒装束の男を追い払うように力をふり絞って黒い服を手やひじでバシバシと必死に殴った。


「ウギャ、ウギャ、ウギャ、ウギャ、ウギャウギャ、ウギャウギャウギャ、ウギャウギャウギャ、ウギャウギャウギャ」と男はまたしても奇怪な声を発しだした。