M
「やっぱりさ、、、」
秀はまたため息をついて、
「無理矢理じゃないと駄目だな」
――あの時とは違った。
いきなり秀の顔が傾いて、頭の後ろに手が添えられてて、唇の柔らかいのを感じた。
「しゅ、、、、」
“秀!ヤメテっ!!”と、拒もうとしたのを防がれて、何も出来ない状態。
「ちょっと!!」
やっとの事で離れたと思えば、
「帰るよ?」
表情を全く変えずに、手を差し出す。
「え、、、」
「もー!」
秀はあたしの手を掴む。
顔に体温が集まっているように感じた。
ぼーっとして、フラフラ。
何が起きているのか全く分からなくて、ただ秀に引っ張られながら帰るだけ。
でも、離そうとは思わなくて、逆に強く握っちゃったというか、、、。

何がしたいのあたし?
どうかしたのあたし?
家に帰るまで、あたしたちは何も話さなかった。
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