年下彼氏、


「なぁ、その人さ
お前とどういう関係?」



カゲの問いに、軽く首をかしげつつ
頭を掻いた。



「ん~…"憧れ"?」


「憧れ?」



うん、と俺は頷き
先輩の顔を思い浮かべる。

そしてそれと同時に浮かんでくる
もう一つの光景。




「紗枝先輩ってさ、」



「1年前、バンドのボーカルやってたんだよ。」




蘇る、ステージ上の先輩。

まるで飛ぶように、輝くように
でも、どこか切なくて儚い歌声。


インディーズバンドのフェスで
初めて先輩の姿を見た。

本当に一目惚れに近いくらい
俺は彼女の声に惚れたんだ。



澄み切っていて、
歌うことが好きでたまらないといったような姿に。

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