年下彼氏、

あの先輩が忘れられない。




「…で、あの先輩…」
「乃木、紗枝先輩。」
「あぁ。それ。
 紗枝先輩ってさ、今は?」



一瞬、口を噤む。
それから少し顔をうつむけて
ポツリと呟いた。




「解散した。」




カゲは、何も言わなかった。

いつもなら「へぇ、残念」なんて
軽くあしらいそうなものを。

彼は頬杖をついたまま、黙って俺の方を見ていた。



「先輩が2年に上がる前だよ。」


「ほんと、突然。」



目の前に貼られた貼り紙。
”Beat解散!”の文字。

あのいつものライブハウスの前で
絶望したのを今も覚えている。

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