年下彼氏、
未羽の問いに、私は少しだけ首を傾げて
あの日のことを思い出した。
それは、今年の新入生の入学式のこと。
『乃木、紗枝さんですかっ?!』
そう言って、本当に突然
有弥が話しかけてきた。
真新しい制服を着た、新入生の有弥。
見たことも聞いたこともない後輩に
何で名前が知られているんだろうと、
その瞬間完全に引いた。
でも、やっぱりあの日も有弥は
あのキラキラした目で、私を見ていた。
…年下だけど、有弥のほうが
背が高いから見下ろされていたけれど。