年下彼氏、
アイツの顔が、思い浮かぶ。
2階の私たちの教室を見上げる、
あの嬉しそうでキラキラした顔。
私の迷惑もお構いなしで、毎朝毎朝――
嬉しそうに、私の名前を呼ぶ声。
「苦手。」
年下って守備範囲外。
特にアイツは…有弥は子供っぽそうで
というかリアルに子供っぽくて。
有弥と出会って、数カ月が過ぎた。
変わらない苦手意識と、
それを明らかに気が付いていない年下の少年。
「可愛いよね。」
キーンコーンと、1日の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
今日も有弥は遅刻して怒られているのだろうか。
無実の、私のせいで。
「可愛すぎる。」
ちょっと――いや、かなり苦手な男子。
このときの私にとって、
有弥はそんな存在だった。