朔夜的短編集

機械仕掛ケノココロ

こんな事ありえるはずがない。
ありえるはずがないの。


ここは全てが管理された「造りもの」の世界。


時間になれば勝手に天候が入れ替わり、人間が働かなくても面倒なことは全てロボットやアンドロイド達がやってくれる。


ロボットって言っても技術の進歩もあって、この時代の彼らは外見だけなら人間と区別なんてつかない。


私のところにやってきたアンドロイドも、最初に見たときは人間じゃないかと疑ってしまったほどだった。


アンドロイドである「彼」は最初は何もデータがない状態で、私と共に生活を重ねることで私専用のアンドロイドへと成長していく。


ただ、どんなに技術が進歩してもロボット達はプログラムされた以上の事は出来ない…はずだった。


だが「彼」は違った。
私と共に成長するにつれ、どう考えてもアンドロイドが出来るはずないような表情や仕草を見せ始めた。
誰も信じてくれないだろうけど本当に。


ひょっとして故障してる…とかじゃないわよね?


おかしい。
こんなはずじゃなかったのに。
「彼」は私の面倒なことを全て引き受けてくれる便利なアンドロイド…それだけのはずなのに。


どうしてこんなにも「彼」のことで悩まなくてはいけないのだろう。
何だか最近心臓がうるさいし、顔が熱くなったりもする。





…私も故障したのかしら?
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