朔夜的短編集

WANDERLAND

―この世界の真理だとか真実だとか、そんな難しいことは俺にはよく分からない。

だけど、1つだけ分かることがある。



この世界は、どこかが歪んでいる。
それもかなり歪な歪み方だ。



どこが、と聞かれても困る。

それが分かればそもそも俺はこんなに漠然とした悩みを抱く必要はないわけで。

ただ、何となく感じるんだ。
すれ違う人達や何気ない会話、空の色なんかに



上手く言い表すことの出来ない些細な違和感を。



"ある人"に相談するとそれは気のせいだと言われた。

思春期とかによくある事で、誰もが体験することなのだから気にすることはない。
大人になればそんな事は気にならなくなるから、と。

"彼ら"に相談すると一瞬驚いたような顔をして俺を見た。
だがやがて、とても穏やかな笑顔を浮かべてこう言った。


"そうか…君には分かるんだね"と。


最初は全く意味が分からなかった。
けれど、最近になってやっと理解出来るようになってきた。


"どちらの言うことも正しくて、だけど間違っている"。


だから、今日も世界は歪んでいるのだ。
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