図書室でキミと~秘密事は図書室で~
すると、小さめな声で
でもハッキリと
「先輩…下屋敷先輩といたんで。声なんてかけられませんよ。
目が合ったのも……気のせいじゃないですか?」
冷たい声に感じたのは気のせいだろうか?
いつも冷静沈着と言われる俺が、柄にもなくショックを受けていた。
あまり気持ちが揺れないと、自分でも思っていたのに
……こんなに乱される。
そんな自分を自嘲して、微笑んだ。
「…そっか。じゃ、俺が中川さんを見てただけだ。」
「へ…」
目の前にコップを置く。
彼女のために買った、オレンジジュース。
「なんかあげたかったから。
好きだったよね?
じゃ、またね。」
これ以上いたら、彼女にも迷惑かもしれない。
名残惜しかったが、一瞬だけ彼女の頭を撫でて店を出た。
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