図書室でキミと~秘密事は図書室で~
「この作家知ってる?」
「ぇ……あ!!し、知ってます!!」
淡い黄緑色の表紙。
なんとも可愛らしい色合いをしたその文庫本は、俺の大好きな作家の新作だ。
でも、まさか中川さんもこの作家を知っているとは思わなかった。
まだ…知ってるという人にも、他の作品を読んだことがあるという人にも
出会ったことがなかった。
だから、こんなにも話が弾んだんだ。
こんなにも楽しい時間だったんだ。
他の感情は……………ないと信じたい。
今さら、遅いとはわかっていたが。
下駄箱で、少しだけ会話できたことが
ものすごく嬉しかった。
.