となりの空席
「っ...あの...あのね...」
「ゆっくりでいいから」
「う、うん」
〔史織〕《弥生がこんなに焦るなんて珍しいな...》
「史織...あのね...私...転校することになったの」
「.......マジで?」
私は静かに頷いた
「タケルには言ったのか?」
「...まだ。でもタケルと史織には自分の口で直接伝えたかったから」
「そっか...」
「うん...」
涙が一滴流れて我に返った
「あ、じゃあタケルん家に行ってくるね」
「えっ?雨降りそうだし傘持ってけよ」
「ううん、大丈夫」
私は史織に背を向けて走り出した