First Love
光が射し込む場所へ

眠らない街、新宿・歌舞伎町。

今夜も、光り輝くネオンに目が痛む。


私がこの街に初めてやって来たのは、ちょうど2ヶ月前だ。

茨城県の田舎町で小さな工場を営んでいた父親が、いきなり心臓発作で亡くなった。

工場は潰れ、借金だけが残った。

泣いてる暇もなく、返済を催促する業者達が家へと押しかけた。

40歳の高齢出産で私を産んだ母親は、今は58歳。

もちろん、パートですら雇ってもらえない。

ましてや18歳の私ですら、こんなド田舎で一生懸命働いたって、安い時給しかもらえない。

私は、決意した。

『東京へ出て、キャバクラで働く』ことを。

携帯なんか持っていない私は、コンビニで東京の求人誌を立ち読みし、いい店を探し、見つけた。

それが、今の店、『プリンセス』だった。

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