きみに届け,この想い
「なぁ俺も触っていいか?」
不意にそんな声が聞こえた。
一瞬驚いたけど、あたしは「どうぞ」と返事をした。
不良くんの手があたしのお腹にポンと乗ると、あたしのお腹を撫でた。
「お前は愛されてんな。…早く、元気で生まれてこいよ」
不良くんはそう言いながら笑った。
あたしも不良くんを見て笑った。
赤ちゃん。
これからはあたしがあなたを守っていくからね。
心配しないで、早く生まれてきてね。
あたしは心の中で赤ちゃんにそう伝えた。