現代戦国時代3
「逃げる気か!」

俺がクナイを構えると、孫市に腕をとられた。

「何を!?」

「やめるんだ。今は、慶次を助けるのが先決だ」

幸村は火の固まりになって飛んでいった。

「くっ……」

「自分で倒せなかったのがそんなに悔しいかい?」

「え?」

「図星って顔だね」

孫市は倒れた慶次に歩みより、肩でかついだ。

「あの…俺はそんなつもりじゃ…」

「そうかな?力はあっても、目標を簡単に見失うようじゃ、君には何も任せられないね」

俺の横をすり抜け、孫市はさっさと行ってしまった。

「俺は……」

拳を握りしめても、何もつかめやしない。

俺は何を考えていたんだろう。

怒りに身を任せ、慶次を助けることすら忘れていた。

「佐助くん、行こう。火がかなり回り始めている」

孫市の遠くから呼ぶ声に反応することもできず、俺はゆっくりもと来た道を引き返し始めた。
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