現代戦国時代3
「貴様!!ぶっ殺してやる!!」
 
賑わう町中に不似合いな怒号が活気ある声を静かにした。
 
目の前にある人だかりの中央にぽっかり穴が開いている。
 
「ぶつかっておいて、謝らないどころか俺が悪いというとは命が惜しくないらしいな!!」
 
戦局を聞いて、そこまで有頂天になるとは…
 
人の気持ちというのは、どこまでも大きくなるらしい。
 
俺は人混みをかきわけ、輪の中に出た。
 
怒号を発していたのは、髭面のいかにも武人といった男。
 
相手はひ弱そうな男で、年は俺と同じくらいだった。 

「あなたが前を見ないで歩いていた結果でしょう」
 
「まだ言うか!!」
 
刀を引き抜く瞬間、俺はその手を強く握り締めた。
 
「止めろ。お前が悪いのは聞けば分かる。まだやるなら、俺が相手だ」
 
「なんだ貴様は!?」
 
「猿飛佐助だ」
 
名前を言った途端に、男の顔色が急に変わった。
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