現代戦国時代3
轟音が遠くから聞こえる。

城に残る根津は、続々と運ばれる兵士達を懸命に治療する院長を横目で見ながら、佐助と慶次が目覚めるのを待っていた。

「根津。二人の様子はどうだ?」

「毒は多分抜けたと思うんですけど……まだ目をさまさないです」

院長は二人の顔色をまじまじと見て、根津を見た。

「根津、この様子なら二人は大丈夫だろう。お前……戦場に行け」

「ええ!?」

根津は院長のいきなりの指令に驚きを隠せなかった。

しかし、院長は続けた。

「……お前の嫌いな戦だ。しかし、このままではお前のもっと嫌いな他人の死を見ることになるぞ」

「それは……」

辺りを漂う血の臭い。

苦しむ兵士達。

根津の頭に映画のワンシーンのように、何かが思い浮かんできた。

ギラギラとした眼差しをし、眉間に×印のような傷跡を携えた、殺気に満ちた男。

どこかわからない部屋にいる根津の視点は低く、まだ根津が小さい頃の風景のようだ。

男はゆっくりと刀を持った右手を振り上げ、ジリジリ根津に近寄ってくる。

「ダメ!!」

聞き覚えのある女の声が聞こえたと思った瞬間、根津は目をさました。
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