現代戦国時代3
「早くお逃げ……ここは君が来て良い場所じゃないんだ」

優しく言う根津に、子どもはゆっくりうなずいた。

「おい!!」

根津の背後には、刀を振り上げた敵兵。

「お兄ちゃん、危ない!」

子どもが叫ぶと同時に、根津は反転しながら蹴りで刀を弾き落とした。

「お前……ただ者じゃないな」

「…………わかりませんよ。僕にもね」

根津は相手の腹に拳を見舞った。

ゆっくり横へ崩れていく敵兵を見ながら、根津は息をついた。

「さあ、君は帰りな。父ちゃんは僕が見つけるから」

子どもの方を見ると、子どもはにこりと笑った。

「お兄ちゃん強いね。僕の父ちゃん、ちゃんと見つけてよね」

「ああ、約束だ」

指切りを済ませると根津は再び歩み出した。
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