one's first love
あたしと裕くんは、
異性の親友みたいなもので、
価値観から、恋愛観から、考え方から、好きな俳優まで一緒で、
“キモっ”って爆笑(笑)

あたしが一年片想いした彼に失恋した時、
あたしが真っ先に連絡したのは、楓でもなく、女友達でもなく、
何故か裕くんだった。


『助けて』
その一言だけ。

苦しくて苦しくて、
悲しくて悲しくて…
なんか悔しくて、
頭がまわらなくて、
“助けて”のたった一言しか言えなくて……

「…大丈夫か?」

『だいっ…じょうぶじゃ…ないっ……』

あたしと裕くんは、
近くのファミレス前で待ち合わせをした。

あたしは携帯だけを持って、すぐ家を出た。

彼もすぐ家を出たらしくて、あたしが着くとすでにいて、
あたしはチャリを適当にとめて、
彼に、裕くんに抱き着いた。


あたしは裕くんに会えて、ホッとして涙腺が緩んで、ぶぁっと涙が溢れる。

『あいつ…ね、彼女…出来て…っ…あのねっ……』
泣きながらの説明。
あたしは声を出すのがやっとで。

裕くんはただ話を聞いてくれた。
この時のあたしは、
同情して欲しいんじゃなくて、
ただ話を聞いて欲しかったの。

“可哀相”
なんて思わなくていい。
むしろ思われたくない。
あたしの話を聞いて…。

あたしは、裕くんの対応にすごく心地よさを感じて、涙が止まらない。


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