3割の恋。
そこにビールのケースを持った馨ちゃんがきて

「紗耶香、奢りなんだから飲みまくれ。歩夢待ちくたびれたもんな。」

とニカッと笑った。

かれこれ8時間は確実に待っていた。

緊張がとれて、どっと疲れる。

弱々しく微笑み返しながら、声だけは元気に

「うんっ。飲もっ。」

と返事した。

馨ちゃんとあたしのサシの飲みが始まり、いつものメンツも集まって、どれくらい時間が経っただろう。

歩夢が罰の悪い顔で現れた。

「ぁっ歩夢てめぇおせーんだょっ。」

と馨ちゃんが笑いながらボディにパンチを入れる。

みんなも口々に何か言いながらじゃれつく。

あたしは無言で蹴りをお見舞いした。

「まぁ飲めよ。」

馨ちゃんが歩夢に瓶ごとビールを渡し、みんなで乾杯して一口飲んだ後、つもる話もあるっしょなんて言ってみんなを連れて、席を立った。

みんながいなくなった卓はやけに静かで、あたしは相変わらず何も言えなくて、歩夢の方すらまともに見れなかった。

「紗耶香ゴメン。」

歩夢を一向に見ないあたしに、何回もゴメンを繰り返す歩夢。
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