君を想うとⅡ~Secret love~




早坂さんが苦しそうに叫んでからどれくらいたっただろう。



無言の時間がしばらく続いた後、




「龍。イブはそんなこと望まないよ…。」






静かに

桐谷慎がそう言った。









「…なっ…!!!!」







激情した早坂さんがもう一度殴ろうと右手を振り上げた時、






「あんなに優しいイブが俺の不幸を願うハズないだろ!!!???」








意志の強い、覚悟を決めた強い目をして、桐谷慎は早坂さんの目をじっと見据える。








「龍、お前が言ってるのはイブの気持ちなんかじゃない。
それは…、お前の希望に過ぎないんじゃないのか?」







逃げも隠れもしない強い目が、今度は早坂さんを追い詰める。







「龍、心配しなくても俺はイブの死は忘れない。高宮が側にいる限り…、俺はあの事故を忘れることなんてできないよ。」







そう言って。

桐谷慎はニコリと笑った。






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