君を想うとⅡ~Secret love~


「……龍……。」




桐谷慎が呟くと、早坂さんはハッとした顔をしてグイッとスーツの袖で涙を拭う。








早坂さん

桐谷慎

しゅーちゃん





そして…、私とイブ。







絡まった5つの糸が少しずつほぐれていく。









早坂さんは…、桐谷慎が許せなかったんじゃない。

きっと、イブのコトを忘れそうになる自分自身を許せなかったんじゃないかな。





時間と共に薄れていく周りの反応。

確かにそこにいたのに、みんなに忘れ去られて、美しい思い出に変えられる愛しい妹。





そんな妹を自分だけは過去にせず、忘れず、想い続けることが彼にとっての愛だったんだ。









しゅーちゃんが“許してあげて”と言ったのは、そんな早坂さん自身。







想い続けることが彼の幸せなら、それは誰にも止められるコトができない。


だけどそれが苦しみを伴う行動なら。






そんなコト続ける必要なんてどこにもない。






< 384 / 476 >

この作品をシェア

pagetop