君を想うとⅡ~Secret love~
会社にとって、いい選手はいい宣伝材料。
ウチの製品を使って大きな大会でいい成績を出してくれれば…、それだけで大きな宣伝効果になる。
だから大きな企業は優秀な選手と契約を結びたがるんだけど…。
島こずえと北村大輝。
水泳界のダブルネームがウチと専属契約を結ぶなんて……夢みたいな話、現実味が全くない。
この話がホントなら…。
会社は大喜びだろう。
うちの会社も宣伝効果を期待して、喉から手が出るほど優秀な選手を欲しがっている。
その契約を結ぶ相手がオリンピックメダリストなんて、こんなおいしい話は他にない。
つまり、この契約書は価千金の金の卵だ。
「お前…コレ……。」
専属契約書と理事長からの手紙を握りしめながら。
ブルブルと手を震わせて桐谷慎を見つめる早坂さん。
そんな早坂さんに向かってニッと悪魔のように冷たく勝ち誇った目をして微笑むと
「言ったろ?勝ち目のないケンカはしない主義だって。
やり方が甘いんだよ、龍。」
ククッと笑うと桐谷慎は早坂さんを悪魔のように見下ろした。