君を想うとⅡ~Secret love~
・どうして?
人事部の掲示板に張られた、しゅーちゃんの移動命令。
ワイワイと集まる人だかりの中、私は頭の中が真っ白になって身動き一つできずにいた。
なんで…?
どうしてこんな大事なコト言ってくれなかったの??
頭の中にあるのは混乱と悲しみ。
私はボーゼンとしながらその張り紙を見つめていた。
「藤堂係長、出世間違いなしだね。」
「うん。ウチのエリートコースって海外事業部勤務が必須みたいなトコあるもんね。」
「あの若さで…スゴいよね~!!!」
遠くで聞こえる後輩達のはしゃいだ声。
しゅーちゃんが出世するのは凄く喜ばしいことだ。
なんだかんだで一生懸命仕事には取り組んでる人だもん。
しゅーちゃんみたいに穏やかで、明るくて、みんなの太陽みたいな人が会社の偉い人になるなら…こんな嬉しいコトはない。
喜んであげるべきだ。
よかったね、って
おめでとう、って言ってあげなきゃいけないことはわかってる。
だけど…
そんな当たり前の言葉が、言えそうにない。