君を想うとⅡ~Secret love~
「フフッ。
そりゃー…、高宮でしょ。」
伊織が消えていった扉をいとおしそうに見つめながら。
迷いもなく“伊織を選ぶ”と部長さんは答えた。
「…どうしてですか?」
「…えっ??」
伊織から何度も聞いたイブの話。
部長さんにとってイブという女の子はかなり特別だったハズだ。
きれいな思い出の中に住むキレイで可愛い女の子。
その彼女よりも伊織を選ぶと言いきった部長さんに、少し違和感を感じたあたしは。
「人ってそんなにアッサリ自分の気持ちにサヨナラできるものなんですか?」
失礼なのは十分承知の上でこんな不躾な質問をぶつけると。
部長さんはまたキョトンとしながらあたしの表情を見つめていたけれど。
しばらくするとニッコリ笑ってこう言った。
「うん。俺は今を生きてるから。」