君を想うとⅡ~Secret love~
穏やかで
優しくて
哀しい表情を浮かべながら。
桐谷慎は私の頭をヨシヨシと優しく撫でる。
「だけど…、ワガママを言えばちゃんと俺を選んで欲しい…かな。」
そう言って
ハァと大きくため息を吐くと
「高宮、俺たち少し距離を置こう。」
桐谷慎は。
突然こんな悪魔なコトを言い出した。
今ならわかる。
今ならあの時の彼の提案は、自分の為じゃなく私の為で。
私の本当の幸せを考えた上で出してくれた、最上の選択肢だったと今ならわかる。
だけど…
あの時の私にはわからなかった。
ただ彼に捨てられたと思った。
「いや…!!
いやだよ、桐谷慎。
私、桐谷慎と離れたくない!!」
首をフルフルふりながら。
目の中に溜まる熱いものをこらえながら彼の右手をギュッと掴むと。
「高宮……」
彼は困ったような顔をして私の瞳をジッと見つめた。