君を想うとⅡ~Secret love~
・遠慮はしませんよ~Side 慎~
…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
医務室の扉を後ろ手で締めると
「随分…余裕なんスね。」
ふてぶてしく可愛い気のカケラもない言葉をぶつけられた。
この可愛くないセリフの主は…
廊下の壁に上半身をもたれさせながら、
腕組みをして俺を睨みつける藤堂。
「別に?余裕なんてどこにもないよ?」
フッと笑って答えると
「随分、お人好しすぎやしませんか?」
「なにが?」
「何でアイツの手を放したんですか。
極悪非道で唯我独尊な部長には似合わない行動ですよね。」
試すように
探るように
冷静な瞳をして藤堂が俺を見つめる。
――藤堂は…大人になった。
素直にそう思う。