茜色




どれだけ時間がたったのだろう…………




「夕陽が沈むな…………。」



綺麗な茜色の夕陽が消えていく…………。





あたしも、この茜色をした夕陽のように消えていくんだ……







「なぁ、お前って今日誕生日だろ………?」



『そうだったね。……あっ、プレゼント…………。』


あたしは鞄の中からラッピングされた袋を蓮に渡す。


『誕生日おめでとう。生まれて来てくれてありがとう』



「………今まで俺は、旬と学にしか祝われなかった。あいつらよりも、凄く嬉しい。」




沈んだ夕陽のせいで辺りが暗くても、蓮が頬を染めていたことだけは分かった。


こんな蓮の彼女でいられるのも、最後……………。





『なぁ蓮…………』



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