茜色
『だから………あたしと別れて…………。』
潤んだ目で訴えてくる茜………
この状況で、素直に わかった なんて言いたくねぇ…
でも、こいつが望むなら、茜が願うなら、茜がそれで幸せになれるのなら、俺はこいつの為に別れよう。
「わかった。でも、警戒とか、避けたりするなよ?俺は未練を残すような行動はしたくないから。」
『それはあたしもそうだよ。あたし達は今までのように特別寮の生徒。』
恋人…………。
この単語は俺達の中ではもう生まれて来ない………
今にも泣きそうな茜……
こんなこと考えたことなかった………
さっき渡されたプレゼントの温もりが夏から冬えと変わるように消えていく…………。
『あたし、先に帰るね……。』
今の俺は、こいつを抱きしめる事さえできない………
「あぁ……夜は寒いから、気を付けて帰れよ? 俺はまだここにいるから。」
『うん………。バイバイ』
茜は遠くへ行くたび、小さくなって消えていった………