茜色
茜と蓮
あれから月日は流れ、明日は夏休みに入ろうとしている。
あたしは今も蓮の事が好き。
でも、こうせざるを得なかった。無理しても、あたしは蓮を忘れなくてはならないんだ。
でもどこかで、蓮はあたしを追いかけてくる………って期待しているあたしがいる。
…………矛盾すぎる。
自分の性格の情けなさに呆れてしまう。
「茜?終業式終わったよ?帰ろ?」
覗きこむように誘う杏莉。
この子は、多分今でもあたしが蓮を忘れられないって分かっているはずだ。
でも、あえて口には出さない。別れた理由も聞いて来ない……。
これは、杏莉の思いやりだと思う。
本当にいい親友をもったな………
『うん。早くお昼食べたいしね☆』
あたし達は体育館を出ようとした時――――
「えぇ、優雅茜と一条蓮は緊急、学園長室まで来て下さい。」
と、教頭がマイクを持って、言った。