茜色



「こりゃ重傷だな………。」


苦笑しながら旬が言った。

確かに…………俺もそう思うよ。





今気付いたけど、茜の姿が見当たらない………


『なぁ、茜は??』


「あぁ、茜?バイトだよ。でも、今日の茜はおかしかったな。目がパンパンに腫れてたし……先輩がどうのこうのって……1人でブツブツ言ってた。」


先輩…………


多分、昨日の男だろうな。


考えただけで腹が立ってしまう………


「ねぇ、蓮ちゃん………茜の事がまだ好きなんでしょ?」


中園が俺を見て聞いてくる。


『………あぁ。』


「なんでその気持ちを伝えようとしないの??」




『……俺は茜が好きだけど、自分の意思を茜に通したいとは思わねぇ。
アイツがもし、こんな事を望んでいたとしても、アイツが出した答えは別れる事なんから、これ以上の正解も不正解もないと思う』



しんと静まる食堂………。

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