犯罪者BOX
そのあと、さとしと別れて家に帰った。
途中本屋で大好きな推理小説を買った。
こんな馬鹿そうな高校生が小説を読むのかというような目で店員見られたが、いつものことなので大して気にしていない。
家につくと母親に「おかえり」声をかけられたが、無視して自分の部屋に入った。
母親は嫌いではないが、だれしもが来る反抗期のようなもので俺は母親を少し避けていた。
血の繋がっていない父親にはできるだけ猫かぶって、勉強の話ばかりした。
薬剤師である義理の親父は、安定した生活を俺に与えてくれる。
こうして夜中まで歩いていることができるのはこの人のおかげだと思うと、反抗する気など起きず、猫かぶっていい義理の息子を演じるほうが正解だと思った。
部屋に入ると、まずパソコンとテレビの電源を入れる。
そして、パソコンが立ち上がる間に推理小説に手を伸ばす。
推理小説は好きだ。
自分も探偵や刑事になって、その事件と立ち向かっているように感じられる。
読み終わるまで、俺は退屈な人間ではなくなるのだ。