Simply

*Love 4


試験中はバイトにこないかずま

反対に試験中は学校が早く終わるからバイトをずっと入れっぱなしのアタシ



やっと試験最終日の金曜日になると、今度はテストの採点でアタシがバイトに行かなかったから、結局すれ違いのままの一週間となった


学校の中で遭遇することはほとんどないにも関わらず、たまに遭遇するとかずまの横には必ず小沢さんがいた


同じ生徒会の仲間だし、色々とあるんだろうけど


なんだか妙な気持ちが生まれているのも真実で


……かずまと小沢さんが一緒にいる姿がとてもナチュラルで、本来の高校生にあるべき姿に見える

それにアタシとかずまのつながりはとても希薄で儚いものに思える


自分が数年前、女子校に通う高校生で、男前を見るたびに騒いでいたことがやけに懐かしい

男前とすれ違う時にハンカチを落として拾ってもらう作戦を考えたりだとか


話は脱線しながらも行き着くところはかずまなの結局



ごちゃごちゃ考えてしまう頭を切り替えるように試験の採点に集中する


並んで作業する田中先生が「いい試験問題だったわ」なんてつくづくほめてくれて、アタシはぽりぽりと頭をかいた


「先生は天職かもね」


なんて、ものすごい勢いで赤ペンを走らせながらお世辞でも嬉しい言葉をかけられる

でも……その赤ペンの動く速度は、ベテラン神業……!


週明けには答案用紙を返していくために、スパートをかけて採点をしていく

あわただしい時間はあっという間


「つき合わせてごめんね、遅くなっちゃったね」


申し訳なさそうな田中先生が時計を見てため息をついている


「とんでもない!自分が作った試験なんで、解答みるのも楽しいです」

「そう?」


まだまだ笑顔でやっていける若さをアピール、指導教諭が優しい田中先生で良かった……と思いながらも、アタシは再び採点作業に没頭した

< 113 / 250 >

この作品をシェア

pagetop