Simply
「和食サイコー」


思わずそう言って、仲居さんを笑わせてしまった


たあいのない話をして……といってもアタシばっかりが話しているんだけど

こんな時間がずっと続けばいいと思うのに、締めのごはんも食べ終えて…あとはフルーツを残すのみらしい


あ~あ、もう終わっちゃっう


さすがにお腹いっぱいだけど……残念



「そういえば、試験でおれが休んでた間、店で酒飲まなかっただろーな」

「飲んでません」


確認するかのように、かずまが下からアタシの顔をのぞきこんだ


そのかずまの視線を上目で見返す


「ねえ、そういえば……」


―聞きたかったことがいくつかある……


「長瀬くんって……お友達?」

「長瀬?なんで?」

「うん…いつもアタシに“かずまがあーだこーだ”って話してくるから」

「ああ、そう……アイツは、幼稚園の頃からずっと学校が一緒なんだよ」

「アタシとのこと、知ってるよね」

「あいつは暇さえあれば俺の家に入り浸ってるからな」


それって、よっぽど仲良しだよね


だから、かずまの機嫌がいいとか悪いとか知ってるんだ


ふとこの間図書室での男子生徒数人との放課後補習を“かずまにチクっちゃうよ”といわれた事を思い出す



「そういえば……小沢さんとも仲良しだね」



かずまは表情をかえずに運ばれてきたフルーツに視線をうつした

キレイにカットされた柿が透明の器にもられて、緑の葉がかざりにあしらわれている

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