Simply

教頭先生が「今はちょっと……」と声を出しながらドアに近づき少しだけ開くと、ニュっと女性の足がドアを割って入ってきた


「ちょちょちょっと、君ィ」


マンガみたいなセリフの教頭先生を無視してその女性は突然アタシの腕をつかんだ



「ああ……ちひろ！ごめんね、迷惑かけて」



「あこ！」


なんで、あこが、ここに？？？


あこはさも急いで来ましたって感じで大きく肩で息をしている

そして改めて校長先生に向き直って発した彼女の言葉に、アタシはひっくり返りそうになった



「新田かずまは、アタシの恋人です！！」



校長先生があっけに取られて、さっきまでの揉み手が止まっている

教頭先生はオロオロとその場を動き回っている


「な、なんだね、君は」


と教頭先生がやっとの思いで口を開いた


あこは教頭先生に視線をうつすと、善良そうな笑みをうかべる


「アタシは真木ちひろのルームメイトです

かずまはアタシのところへ来たんですけど、きっと誤解されたんですね」


「ルームメイ……」


教頭先生は目を白黒させて、一人であたふたと落ち着かない


対照的な校長先生がアタシに聞いた

「本当ですか？」

「ええ、彼女は本当にアタシのルームメイトです」


……かずまの彼女ではないけれど