Simply
今日は久々に前田さんから同伴にさそわれて、店にはいかずそのまま待ち合わせの店へ向かった


高級レストランではないけれど、ちょっぴり贅沢な食事

個室じゃないけど、キャンドルが小さく灯るテーブル


アタシには、これくらいできっとちょうどいい


セレブすぎるのはアタシには似合わない



「こないだの話、少しは考えてくれた?」

優しい前田さんの声がアタシの意識を呼び戻す


「アタシ……結婚はまだ」

「彼氏がいるからって言わないんだ」


前田さんはそう言って「意外だなあ」と微笑んだ


「じゃあ、もしかしたら僕にも望みがあるかもしれないね」



ねちっこく迫られると拒みたくなるかもしれないけれど、前田さんはものすごくドライ

答えを焦らないし、深くも聞いてこない


そんな割り切り感がアタシにもあればいいのに……


その話はそこで終了

それからはちづるさんの話だったり、この間のパーティの後日談だったりを楽しく会話する


「ママは、最近無理してきつめに帯を結んでるからね…

今日こそは、ちょっと緩めるように提案しようと思うんだ」


なんて真面目な顔で言われて、アタシは大笑いしてしまった


「失礼なこと言わんといてよって言われますよ?」


「あ、いいね、関西弁」

ママの関西弁の真似をするけど、どうもイントネーションがちょっとおかしい


「あかんー、難しいなあー、関西弁―」

「うん、マキの関西弁はちょっと違うね」

と二人で笑った

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