Simply
ビールで乾杯する

アルコールが入れば、氷のような目でこっちを見るかずまの視線だって怖くない


コップ1杯分を飲み干すと、ママは別の席へと移った

「マキ、お行儀よくね」

立ち去る前にママに目顔で言い聞かされて

アタシは肩をすくめた



「で??」

と切り出す前田さん


「マキが元気ないのは、彼氏とケンカでもしたから?」

「彼氏なんていませんよ」

「そんなこといって、僕に社交辞令は通用しないよ?」


前田さんの言葉にアタシは髪をもちあげて首を露出させて見せた


「ね、キスマークなんかついてないでしょ?」

「ほんとだ、別のところについてるんじゃないの?」

「ついてません」

「見えないところとか……

全身くまなくさがしてあげようか?」


アタシはクスクス笑いながら髪を元に戻す


前田さんの指がアタシの首を掠めてなぞった



「首にキスマークもいいけど……」


その指が大きく開いたワンピースからのぞく鎖骨の上を動く


「僕は鎖骨がいいかな」


「前田さんでもそういう事いうんだ」


「そりゃ、僕も男だからね」


と手を握られた

< 132 / 250 >

この作品をシェア

pagetop