Simply
静かに染み渡っていくアルコールが、しばらくすると頭の中で騒ぎ出す


テーブルにフルーツが運ばれてきて、さくらんぼが目に入った


「あ、アタシさくらんぼ好き」

「食べていいよ」

「あ~ん」

口をあけると、つないでいない方の手で前田さんがさくらんぼを口に入れてくれた


「子供みたいだな、マキは」


さくらんぼは丁寧にも種が取り除かれていた


「ほら、マキ、目をつぶって」


アタシは言われるままに目を閉じる


前田さんが「口あけて」というから、少し上向き加減に口をひらく


ひんやりとしたフルーツが入ってきた


「んん……メロン」

「正解、じゃあ次」


アタシは再び目を閉じて口をあける


なかなかフルーツが入ってこなくて、笑ってしまう

「今、皮むいてる?」

アタシが目をとじたまま聞くと、「ばれたか…はい、あーん」なんて声が聞こえて


開いた口に丸いものが入ってきた


口を閉じると、すごくジューシーで口の端から果汁が流れ出るのを、前田さんが指でぬぐってくれた


「巨峰!」

「正解」


アタシは目をあけた


「フルーツはちょっと簡単すぎるよ」

「アルコールが入ったらマキはちょっとエッチになるね」

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