Simply
「あと……小沢のことは……深く考えずに話した

俺が悪かった

過去の事だし、お前がそんなショック受けると思わなかったから」



一瞬だけかずまの顔を見て、また視線を前に戻す


謝るんだ……意外……



と、失礼なことを考えるアタシ


道路の先にアタシの住むマンションが見えてくる

いつも停めているマンション隣のパーキングへと車を入れた


エンジン音が完全にとまると訪れる静寂


「お前を着せ替えて、豪華な食事は……

……口説いてるんだよ」


胸に小さく火がつく

心地よくアタシをあたためる温度

ジリジリと熱をあげて、アタシはまたかずまの手中におさまっていく


「これでも結構、大切にしてるつもり」


口調はいつも通りでそっけないけど、内容はアタシをめちゃくちゃに溶かしていく


「ちひろ」


名前を呼ばれて、なんか……甘いのに、泣きそう

甘すぎて泣きそう





「……萌える?」




アタシの突然の質問にかずまが止まる

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