Simply
「かずまを返して」


小沢さんの視線が鋭くて、目をそらせない



アタシは首を振る


すると、ますます小沢さんは眉根を寄せて声を荒げた


「知ってるんだから!」


真っ向から突きつけられる敵意に、アタシは動けなくなってしまった


「あんた、他に男いるじゃない!

見たんだから、一緒に歩いてるところ

仲よさそうに腕組んで……

ホテルに入っていってた!!」


小沢さんの言葉に固まる


……アタシが、他の男の人と、ホテルに??


「かずまと、二股かけてるんだよ

かずま!

この女は、そんな女だよ!」



何の、話??



「小沢、俺知ってるから……

その男のことも、わかってるから」


頭がついていかないアタシの代わりにかずまが言った

それでやっと思い当たる……


彼女、前田さんのこと言ってるんだ


小沢さんはかずまの顔を見上げた


「かずま……知ってるって??

わかってるってどうゆうこと??」


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