Simply
「やきもちやくなよー小沢~~」

男の子が生意気な女子を冷やかした


小沢さんか……

確か、朝の集会の後ぶつかってきたのもこんな雰囲気の子だったような


「時代の終わった女と比べないでよ」


彼女は更にアタシに毒を吐く


今まで20年生きてきて、ここまで正面きってケンカを売られたことはない

アタシは思わず眉間に力を入れた

ものすっごいあからさまな敵対心

アタシと会話をかわしたこともないくせに“時代遅れの女”ってレッテルを貼ってくれた


そして、そんなクラスメートの暴言に同調するかのように他の女子達も顔を見合わせてクスクス笑っている


……まあ、昔っから初対面で好かれるタイプではなかったけど……


もう!

さすがに先行き不安

平常心を装っても、カウンターパンチに頭の中がグラグラ、よろよろ


女子大生とはいえども、この子達にとってはもう大人に見えるんだろうし、しっかりしろアタシ


気を強く持って、いじけそうな心を上に向かせる


その瞬間ガラガラと音を立てて、教室のドアが開いた


遅れて教室に入ってきた男子がドアの横に立っていたアタシの前でまじまじと上から下まで舐めるようにながめるもんだから、一瞬で頭の片隅に追いやられそうなちっぽけな勇気を奮い立たせるアタシ


ぶしつけな彼の視線を笑顔で跳ね返して

とっても“先生”っぽく



「席に座って?」



と促した

< 17 / 250 >

この作品をシェア

pagetop