Simply
「俺、別に、だまされてねーから」


小沢さんは一瞬目を見開くと、つかつかとアタシに寄ってきて力いっぱい突き飛ばされた


「キャ……!!」


腕を思いっきり車にぶつけてしまって、よろめく


「堂々と、二股かけてるって

どんな神経してんのよ!

最低っ!!

かずまを返して……!!

あんたなんかにかずまは似合わないんだから……ッッ!!」


再び小沢さんの腕が伸びてきて、また突き飛ばされる……と思った瞬間


スッと肩を引き寄せられた



気づくと、目の前には制服のブレザー

かずまの背後に……隠されてる



「違う……

俺が、この人じゃないとダメなんだよ」


アタシは、後ろで思わず両手で口を覆った

修羅場に関わらず……胸が熱くなる


ウソ……嬉しい……



「なんで?

なんでよ、かずま!

私ならかずましか見ないよ?

他の男なんていらないもん

かずましか……

いらないもん……」


小沢さんの言葉は段々と消えていくように小さくなった


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