Simply
小沢さんが大股で戻ってくる


「生徒に暴力振るうなんて」

「専守防衛!先に手を出したのはあなたでしょ」




小沢さんが更に言い返そうと口を開いたときだった




―――「お前らいい加減にしろよ」



冷たい目をしたかずまと長瀬くんが歩いてくる


あ、二人が一緒にいるところはじめて見た

長瀬くんはさっきまできちんとしめていたブレザーのボタンを全てあけて、あくびしている


小沢さんが媚をうるようにかずまに走り寄った


「聞いてよかずま、この人が……」


と、アタシを指差している


「小沢、悪いけど……あの先生すぐ挑発に乗るからケンカ売らないでくれる?」

小沢さんの言葉を遮るかずま

納得のいかない顔でかずまを見つめ返す彼女


…不愉快な気分でその二人を見るアタシ


教室に戻る生徒達の姿はもう遠くに小さくなっている


小沢さんはかずまに添えていた手をゆっくりと離した


「言っとくけど、今日で最後なんだから……

もうあなたに邪魔なんてされないからね」


かずまをあきらめる気はさらさらないらしい


すると思いもしないところから救いの手がのびてきた


「無理だろ、小沢あきらめな

だって、かずまの方が女にいれあげてんだからさ」



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