Simply
HRが終わると「真木ちゃんまた来週ね~」なんて声をかけながら帰っていく男子たち

ひときわ遅れて教室に入ってきた男子生徒はポケットに両手を突っ込んだまま前まで来て、少しかがむとやっぱりアタシを上から下まで眺める


「何…ですか」


その近すぎる距離に、思わず腰が引けてしまう

彼はアタシの体に目を向けたまま口を開いた


「女教師って、もっとタイトなスカート履いてんじゃないの?」

「は?」


今時の高校生ってこんなのなの??


「何あんた、こんな女がタイプなわけ?」


通りすがりの小沢さんがそう言うと、その男子は体を起こして「別に」と教室のドアをくぐっていった

何にも入ってなさそうなカバンを脇に挟んでいるのが最後にチラッと見えて、そっちに意識を取られていると


「来週から来なくていいわ」


と小沢さんがアタシの横をすり抜けて言った



来るか来ないかは、小沢さんが決めることじゃないし……


大きなため息が出る

城田先生と職員室に戻る廊下に響くペタシペタシの不幸な足音


身体的疲労はない、精神的ダメージ


5歳は老け込んだと思う



あーーーーーあ

もう

あーーーーーあ



頭の中で悶えているはずが実際にも口から漏れていたみたいで、城田先生が「どうしました?」とこっちを振り返った

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