Simply

「あ、いえ」


「疲れたでしょ？」

「はは……」

笑ってごまかしてみる


「真木先生みたいな先生は男子は喜びますが、女子はあからさまに毛嫌いしますからねえ…

この年頃の女子って難しいから」

「はは……」

ごまかしの笑顔はさっきから顔面に張り付いている


「今日の懇親会は参加されるんでしょ？」

「ああ、はい、まあ、一応」

「よかったよかった」


城田先生が職員室の扉をひらくと「レディーファースト」とアタシの背中を押す

「すいません」と頭を下げながら進むと中から出てきた男子とぶつかった


「わ！！」

と驚いて顔を上げると、今度は違う意味で「わぁぁ」とダメージを食らう


「前見て歩いたほうがいいんじゃないっすか？」


……新田くんの摂氏0度の視線は、今日何度目でしょうか？？


城田先生は笑いながらアタシの横をすり抜けて奥へと入っていく


新田くんはアタシに「ちょっと……」と声をかけてそのまま歩いていった



？？？

今度は何怒られるんだろう


いや、学校辞めろとか言われるのかな？？


そう言われても困るけど……

っていうかアタシが怒られるってビビってるのもなんなんだか


ぐるぐるいろんな考えがめぐる頭で彼が職員室を出る姿を静かに追った