Simply
「基本的に下半身で行動してるってこと」


俺のセリフにちひろが口をとがらせた


「だからね、そういうのをガマンして女の子に気持ちを伝えるの

エッチしたいから!じゃなくって、

これくらい好きで、大好きで、すっごく大切だから、って伝えたらそれが自然に繋がるんだってば」


「へえ、じゃあ、かずまはそういうことしてくれたわけ?」

「は?」


「だ・か・ら!

かずまは“好き”とか“大切”とか言ってくれたわけ?」

「え?」


目を泳がせている姿を見ると、ますます困らせたくなってくる



「かずまに愛を語られて、足を開いたわけか……」


ちひろが恥ずかしそうに顔をうつむかせた

なんだこの、ウブな反応

初めての男じゃあるまいに



「さて」


と突然切り出したかずまに場を強制終了させられた



ろくにゆっくりもできないまま、追い出されて、バタバタしているうちになんだか一人タクシーに乗せられて


……また、孤独になってしまった





なんだよ、二人にあてられただけじゃん


塗装がはげまくった黒のケータイを取り出すと、メールが一件

ルリちゃんからの「おやすみなさい」


――おやすみ
と、短い文章を返した






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