Simply
「アタシに払えるかな?」

「はあ?」


今度は新田くんが聞き返してくる


「だって、買ってもらうわけには……」

「別にいいよ、昨日の礼だっていってんだろ」

「昨日のお礼ったって、車で送っただけだし…

タクシー代にしても数千円だよ?」



返事がない




アタシは靴と新田くんを交互に見た




「こんな高そうな靴もらえないよ……」

「なんだよ、じゃあ返せ」


手に持っていた靴箱ごと勢いよく奪われた



「え?え?」

「いらねえんだろが」


そう言われると、ものすごく惜しい


「え?ど、どうすんの、それ?」


「別に、適当に誰かにやるよ」

「適当って!……それならもらう!

もらいます!欲しい!!」


横目で見下ろされる


「めんどくせえな、だったら最初っから素直に受け取れよ」

「ごめん……」


新田くんはアタシの足元にしゃがみこむと、アタシの足からスリッパを抜いた

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