Simply
彼が持っている新しい靴に足を入れる



シンデレラみたい……



そんな気分にちょっと酔う


彼の顔を盗み見ると、無表情だけど、なんかうっすら口元が笑っている気がして…

先生という立場も忘れて胸が高鳴った


「痛くない?」


そう聞かれてアタシは立ち上がると、確かめるようにその場で足踏みをした


「ぴったり」


そう言うと、新田くんが今度こそははっきりと少し微笑んだ


ん?

笑った??


あ……笑ってる


多分、初めてみた笑顔

いつも怖い顔ばっかり見てたからか、ギャップが…


すごい目が細くなるんだ



アタシは折り曲げていたパンツの裾をのばして新田くんから少し離れると「似合う?」と聞いた


その質問の答えは返ってこなかったけど、アタシははじめてのルブタンの靴に大満足で


「すっごいキレイ~」


ってテンション高め



そんなアタシの横で、新田くんは空き箱を片付けてくれていた

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