Simply
改札口に来ると自然と手が離れて、新田くんが切符を払い戻してくれた

小銭を受け取って握り締める



「あの、アタシ、タクシーで帰ります」


なんでだかわかんないけど、敬語

しかも妙に怖くて、小さい声で彼の背中にむかって話しかけるという小心っぷり



「却下」

「……はい?」



却下??


振り向きもせずに却下された


ってゆうか、なんでそんな権限があなたに?



「もうすぐ迎えの車がくるから、それで送ってく」

「いえ、…さすがに迷惑かけすぎなので」

「今更うるさい」



うるさ……っ???



「ほんとに、大丈夫だから、タクシーで」

「黙れ」



黙れ……っ???



何、この俺様―――!


アタシ、一応先生なんだけど


カバンを持ち直すとヒールのかかとを返してタクシーロータリーの方へと向かう


「タクシー乗ります!」


言い捨てごめん!!とはしりかけた時だった


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